下水道課・ガス会社の皆様
民地下への上下水道管・ガス管の敷設
上下水道管・ガス管は通常公道下に敷設されるため、民地の地下の一部を取得する必要に迫られることは少ないと思われるのですが、現実には民地の一部地下等を通過して他の敷設管に接続する必要性等が生じる場合があります。このような場合には地役権ないし区分地上権を設定して第三者の土地に対する権原を取得することとなります。
区分地上権は地役権と異なり、上下の範囲を定めて設定され、登記簿上も立体的位置が示されることから、外から見えない地下構築物の保護と土地取引の安全に寄与するといった利点があります。これまで下水道管敷設のために受けた鑑定依頼はいずれも区分地上権の評価でした。
公共目的のための区分地上権評価
公共用地の取得に伴う損失補償基準(昭和37年10月12日用地対策連絡会決定)第25条を受けた同細則(昭和38年3月7日用地対策連絡会決定)第12では、「空間又は地下の使用に係る補償額は、別記2土地利用制限率算定要領の定めるところにより算定するものとする」とされています。
別記2 土地利用制限率算定要領
土地の利用価値は、地上及び地下に立体的に分布しているものとし、次の各号に掲げる使用する土地の種別に応じ、当該各号に掲げる利用価値の合計とすることを基本とし、それぞれの利用価値の割合は、別表第1「土地の立体利用率配分表」に定める率を標準として適正に定めるものとされています。
- 高度市街地内の宅地
:建物による利用価値及びその他の利用価値(上空における通信用施設、広告用施設、煙突等の施設による利用及び地下における特殊物の埋設、穽井による地下水の利用等をいう。以下同じ。) - 高度市街地以外の市街地及びこれに準ずる地域(概ね、市街化区域内又は用途地域が指定されている高度市街地以外の区域をいう。)内の宅地又は宅地見込地
:建物による利用価値、地下の利用価値及びその他の利用価値 - 農地又は林地
:地上の利用価値、地下の利用価値及びその他の利用価値
立体利用制限率
- 上記1の土地の場合
建物による利用価値の割合×B/A +その他の利用価値の割合×α
A:建物利用における各階層の利用率の和
B:空間又は地下の使用により建物利用が制限される各階層の利用率の和
α :空間又は地下の使用によりその他利用が制限される部分の高さ又は深さによる補正率(0~1の間で定める。) - 上記2の土地の場合
建物による利用価値の割合×B/A +地下の利用価値の割合×p+その他の利用価値の割合×α
A、B:それぞれ前号に定めるところによる。
p:地下の利用がなされる深度における深度別地下制限率
α :前号に定めるところによる。 - 上記3の土地の場合
地上の利用価値の割合×q+地下の利用価値の割合×p+その他の利用価値の割合×α
q:空間又は地下の使用により地上利用が制限される部分の利用率の割合
p:第2号に定めるところによる。
α :第1号に定めるところによる。
「建物利用における各階層の利用率を求める際の建物の階数及び用途は、原則として、使用する土地を最も有効に使用する場合における階数及び用途とするもの」とし、各階層の利用率は、「当該地域及び類似地域において近年建築された建物の階層別の賃借料又は分譲価格等を多数収集の上これを分析して求めるものとする。この場合において、高度市街地内の宅地にあっては、別表第2「建物階層別利用率表」を参考として用いることができるものとする」とされています。
鑑定評価との関係
鑑定評価基準各論 第1章 第1節 4.区分地上権によりますと、「区分地上権の鑑定評価額は、設定事例等に基づく比準価格、土地残余法に準じて求めた収益価格及び区分地上権の立体利用率により求めた価格を関連づけて得た価格を標準とし、区分地上権の設定事例等に基づく区分地上権割合により求めた価格を比較考量して決定する」ものとされています。前記補償基準と異なり、比準価格、収益価格等を併用することが必要となってきます。
区分地上権設定地の種別等によっては、鑑定評価書の形式で損失補償基準と同様の手法により区分地上権の価格を求めることが困難な場合もございますが、以下の対応が可能ですので、お気軽にご相談下さればと思います。
成果品の発行イメージをお示しすれば、
1.更地価額の査定 → 区分地上権価額の決定 (鑑定評価書で全て完結) 鑑定評価で区分地上権評価が可能な場合
2.更地価額の決定(鑑定評価書) + 立体利用率の査定(意見書) 鑑定評価で区分地上権評価が困難な場合
3.更地価額の査定 → 区分地上権価額の決定 (調査報告書で全て完結) 鑑定評価で区分地上権評価が困難な場合
上記の方法により、損失補償基準と鑑定評価基準のそれぞれの評価方法間の齟齬を回避することが可能です。